McInjunの日記

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ブルックナー 交響曲第5番☆アバド

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アントン・ブルックナー  交響曲第5番 変ロ長調

クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年10月録音 

 

アバドブルックナー は豊潤でとても上品なサウンドで聴くことができます。勿論、ウィーン・フィルあってのことですが、音楽にぞっこん身を任せて、最終楽章では大きな感動と興奮で埋め尽くされます。

交響曲第5番はハーモニーもリズムもかなり難易度が高く、超一流の指揮者とオーケストラでなければ歯が立たない交響曲です。特に第1楽章は個々の旋律の寄せ集めのように聞こえますが、そこは天才作曲家の成せる技ですから、ブルックナー ファンにとっては大変魅力的な楽章でもあります。

第2楽章はアダージョです。リズムが難しいと感じるのは、この第2楽章の出だしの部分。弦のピチカートは6/4拍子にオーボエが4/4拍子で入っていきます。聴いていてもなかなか難しそうですが、それをしんみりと聴けせてくれます。その後、神々しい旋律が弦によってゆるやかに上昇していきます。この楽句はブルックナーアダージョの中でもひときわ美しく力強さも感じさせます。「ブルックナー の核心的な主張がスパイラル化して押し寄せてくる凄まじさ」とでも云ったら良いのか、もう我慢できない程の情熱が旋律に載せてどこまでも純粋に歌い上げていきます。アバドはこうした歌心のある部分を、気持ちよく響かせ届けてくれました。

第3楽章スケルツォ。かなりダイナミックに荒々しく、テンポも上げてグイグイ進んでいきます。その後、テンポを落としダンスでも踊れそうな純朴なメロディが顔を出します。荒々しさと田園的気分が交互に現れ、スケルツォ楽章としてかなり存在感のある楽章である。

第4楽章 終曲 アダージョ 変ロ長調 まず第1楽章の序奏部と同じ音楽で始まりますが、クラリネットがひょっこりと顔を出し、オーボエも第2楽章の旋律を回想させてくれます。やがて3つの主題を持った対位法が展開されます。ここがこの交響曲の最大の聴き処(どころ)でもあります。そして、ブルックナー の凄さが遺憾無く爆発させたコーダは、宗教性と古典への傾斜が見事に合致し、巨大な塊として覆い襲ってくる迫力は身動きができなくなるほど鳥肌が立ち、改めてブルックナー を崇拝する気持ちが強くなる1曲です。