McInjunの日記

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チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」

 

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チャイコフスキー 交響曲第6番 ロ短調 作品74「悲愴」

・エフゲニ・ムラヴィンスキー(指揮) 

 レニングラードフィルハーモニー管弦楽団

 

チャイコフスキーの「悲愴」といえば、こちらのムラヴィンスキーの演奏が定盤です。録音は今から60年も前の1960年11月、ということですから半世紀以上も経ちます。しかし、今だに高い人気を誇る名演奏で、オリジナルレコードは現在でもかなりの価格が付いております。私にはそのレコード盤は無理なので、CDでこの「悲愴」を聴いてます。オリジナル盤同様のジャケット画は「冬の夕暮れ」でしょうか、寒そうな郊外で、悲しそうな暗い雰囲気の女性が遠くを見つめている、とても渋く地味な絵です。

演奏の方ですが、ムラヴィンスキーはかなりストレートな直球勝負の演奏をしています。それも指揮者の自信の表れでしょうか、何ら迷いなく聴く者に伝わってきます。飾り気のない渋い頑強な第1楽章です。特に金管楽器の精度の高さが魅力的で、当時のレニングラード・フィルの実力は凄かったなと感心してしまいます。

第2楽章はバレエ音楽のように優雅なワルツ・メロディで始まりますが、ムラヴィンスキーはやや早いテンポで淡々とリズムを刻んでいきます。中間での情緒的な旋律では、「悲愴」の名の通り、暗さが勝った楽章となります。

第3楽章は8分の12拍子で始まる早いテンポのスケルツォ楽章。やがて行進曲へと展開していきますが、そこがとても自然でチャイコフスキーの作曲の巧さに感心させられます。その行進曲ですが、何故こんなにも勇しく作曲されたのか、不勉強で分かりませんが、この行進曲があることでこの交響曲がより引き立つような気がします。

第4楽章 弦が主体となり主題を繰り返し、死を覚悟したような絶望的な悲壮感を増していきます。やがて激しいクライマックスの後に、曲は消えるように終わりをむかえます。

やはり終楽章まで集中して聴いてしまうと、人生を考えさせられます。わずか45分前後の交響曲ですが、聴き終えるとすごく濃い時間だったのように思えてしまいます。今、世の中は暗い時世の真只中にあります。こんな時だからこそ、チャイコフスキーの「悲愴」をじっくり聴きながらも明るい未来に希望を持って、健康管理と外出自粛(自己管理)をきちんと継続して参りたいと思います。