McInjunの日記

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シューベルト☆「死と乙女」(弦楽四重奏曲第14番)

 

シューベルト 弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」

*メロス弦楽四重奏団

 

シューベルト弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」は、「未完成交響曲と共に、かなりの頻度で聴いているレコードです。シューベルトの歌曲には同様の題名の曲もありますが、この重々しい歌曲の旋律を、弦楽四重奏曲の第2楽章で変奏曲の主題としています。

第1楽章アレグロは、いきなり劇的な緊迫感を伴って始まります。その瞬間から「死と乙女」というミステリアスな世界に連れ込まれてしまいます。弦楽四重奏の掛け合いは、寸分の狂いも許されない精緻なアンサンブルが求められ、第1楽章はかなり重苦しい雰囲気の音楽が展開されます。

第2楽章は1817年の歌曲「死と乙女」の旋律による変奏曲形式の楽章となります。この楽章がこの曲一番の聴かせどころかと思います。たたみかけてくる切ないメロディは、絶望の淵に追いやられる不安心理と僅かな希望とが交差しながらも、やはり迫りくる死への恐怖には勝てない儚さがとても悲しい楽章です。

第3楽章は4分弱程度の短い楽章ですが、第2主題ではシューベルトの歌心をしっくりと奏でられます。歌詞をつけたらすぐにでも歌えそうな、優しさに包まれたメロディに接することができます。

第4楽章プレストは間近に「死」を予感させ、精神的に追い込まれた心境にさせられます。楽章全体が暗く、常に「死」を意識させる短調(マイナー)でありますが、「生」への強い精神力も見え隠れしており、その相反する葛藤を表現した天才シューベルトには、本当に感動させられます。しかし、曲は最後まで結論は示されずに終わってしまいます。 果たしてどうなるのか・・・? 

ある意味、モヤモヤ感が残ってします終楽章かもしれません。