McInjunの日記

音楽と写真のブログです。

春よ来い

ベートーヴェン   Vn・ソナタ第5番「春」 ハスキル(P)・グリュミオー(Vn)

「春」という題名を持つクラシック音楽はいろいろありますが、私が最初に思い浮かべるのはベートーヴェン のヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、シューマン交響曲第1番「春」、モーツァルトの「春への憧れ」K.596、シューベルトの「春の憧れ」D.957-3、そしてヴィヴァルディの「四季」からの「春」などです。

その中でも私が一番「春」を感じるのは、ベートーヴェン のVn・ソナタの「春」ヘ長調Op24です。

※上記写真のジャケットにも書かれているように、幸福感につつまれた名曲です。

 

その「春」という題名は、ベートーヴェン 自身が付けたものではないようですが、しかしこの曲を聴くと本当に春がやって来たような気持ちにさせてくれます。

第1楽章 アレグロ ヘ長調の明るい響き(ベートーヴェン の田園交響曲の第1楽章と同じ)は、暖かな陽光に輝く花びらたちをイメージしてしまいます。次の第2楽章は変ロ長調アダージョ楽章となりますが、ここでもやや明るさは感じられます。しかし、前のヘ長調ほどではなく何となく辛さも顔を覗かせ、春らしい虚な感情も聞こえてきます。そして第3、第4楽章は、共にまたヘ長調に戻ります。第3楽章はつなぎ的に短く終わってしまいますが、最後の第4楽章はフィナーレを飾るリズミカルな楽章で締めくくります。

このベートーヴェン の「春」の一番のお気に入りは、クララ・ハスキルのピアノ、アルテュールグリュミオーのヴァイオリンによる演奏です。ハスキルのピアノは温かみのある音色で、優しくヴァイオリンをサポートしているように聴こえます。そのヴァイオリンのグリュミオーは美しく甘い音色で、春の雰囲気(空気感)をたっぷりと奏でています。二人の演奏はまるで草原いっぱいに咲き誇る花と蝶のようです。